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tictac

写真が好き、好きに一直線

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カメラが好き、写真が好き、好きに一直線

心がそっと騒ついた

「今年の“すばるの新人大賞”は史上最年少で現役高校生なんだって。しかもね、東海生なの、納得だよね」

これを言ったのは誰だっけ?それは忘れてしまったけれども、この本を知ったきっかけは間違いなくこの言葉、東海生だから納得っていうのは、地域柄、私立東海高校はものすごく頭のいいイメージ(実際とても優秀の人が多い)があるから。きっとこの人はそのイメージを元になんの意味もなく、自然の摂理とでもいうようにこう発したはず。私も「へぇ、それはすごいねぇ」とそれまた自然に返した気がする。

 

でもね、本当は納得なんて思わなかった。なんとなく東海高校って理系のすくつってイメージで小説を書く素敵な男の子がいるなんて想像がつかなかった(笑)私のお隣さんが一番身近な東海生(卒業生)なんだけれども、小説になるような綺麗な言葉をつなぐことはなかった、はず。彼との一番の思い出は、たまたま同じ電車に乗り合わせた時、お互いの近況とか、もっと根本的な「久しぶり〜」ってやり取りの前に『お前、ABC予想どう思った?』って聞かれたこと。ちなみにABC予想っていうのは私たちが大学受験を控えていた2012年に兄弟の望月先生という人が証明した数論の予想。(ざっくりでごめんなさい、詳しく知りたい人は是非検索してください。ちなみに私は全く興味がありませんでした。というか、それよりも目の前の英単語な受験生でした)そんな彼の存在とか、彼から聞いた学生せカツとかえったい小説家なんて排出されない学校ってメージだから、むしろ「納得」ではなくて現役東海生がすばる新人大賞なんて「異質」だと感じた。

 

あまりにも爽やかな話だった、

というのがこの本を閉じた時の感想。

 

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そして閉じる前に見た作者の名前の隣に「2000年愛知県生まれ」と書かれていた衝撃。2000年、生まれなの?あぁ2000年に生まれた人が小説を書くのが2017年なんだ、すごいなぁっていう当たり前なのに飲み込みきれない思いがあった。そりゃ私の成人式がもう2年前になるわけだ、時代を感じる。

 

物語は幼馴染の4人の中学時代の描写から始まり、そして物語の中心は町の小さな科学館(といっても小さいプラネタリウムと少しの展示、あと図書館が併設された施設)。いつのまにか大人になっていて、大切な人「館長さん」の死をきっかけに再会する。後者に暗号なんて出てきちゃったり、過去の恋愛と向き合っちゃったり、「あぁ、高校時代に出会いたかったな」って本。けれども不思議なことに「高校時代に出会っていたら、大人になるということに躊躇してしまったかもしれないな」なんて思う本でもあった。というか!受験前には絶対読みたくないなっている類の恐怖があった。まだ大学受験を経験していないはずの作者なのに達観している、自分の(受験勉強に役立つような、)賢さを知っている作者だからこそ、そこから先の村井に怯えている、のかななんて。

 

憧れが憧れのままであるのは難しい

そもそも未来は存在しないんですよ。可能性でしかない

 

 物語中の「大人」達が発した言葉はもちろん当たり前のことでスッと胸に突き刺さるけれども、私が17歳の頃は夢が憧れで、未来で、疑うことを知らなかったはず。そこ(自分の夢を叶えることのできる大学)に向かって努力(という名の受験勉強)を怠らなかったはずで、だってそこには夢があったから。もちろんゴールではないんだけれども、そこの道を通らないと目標にたどり着けない経由地だった。大学受験ってそこにたどり着くための篩的な役割で、篩にかけられて弾かれたらそこまでで、「落ちる」なんてよくあることなんだけれども、「落ちない」ことしか考えられていなかったなぁ17歳の私。というか今でも私は「憧れ」を抱き続けて、「未来」の存在を疑っていない。

 

夢を見続けたのが理奈なら、夢から覚めたのが僕だ

夢に区切りをつけたのが祐人なら、夢にしがみついていたのが私だった

 

 

祐人と理奈のそれぞれが過去を踏まえ今を評価するこの言葉。夢を「見続ける」と「しがみつく」、夢に「覚める」と「区切りをつける」。同じことなんだよな、分かっているはずだけれどもこの2人の言葉に鳥肌がたった。

自分は今どこにいる?今信じているこの場所は何?

2人の言葉を通したたった17歳の少年の言葉にどんなけ惑わされるんだよ!と思うけれども心が騒ついた。

けれども、私は祐人ではなく理奈でありたいと思う。何か理由があって自分の夢に区切りをつけて、道を逸れることってあるはずなんだけれども、そしてそれが「賢い」選択出会うというのも、大人になってしまった今、わかるんだけれども。私はどれだけカッコ悪くても、こどもでも、夢にしがみつきたい、できるかどうかはともかく。憧れて憧れて、夢に追いつけ追い越せで、必ずその夢を「綺麗」と、「正しい」と信じて叫び続きたい。

 

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ネタバレにならないように、感想をパパッと綴ってみたけれども、最後にめちゃくちゃな感想を言ってしまおうと思う(笑)

高校生の書く文章っぽくないよ!というか宇宙工学の計算とか、もうさ、東海生らしさ全開かよ!頭のいい人の題材って感じだよ!いい高校に行って、依頼も約束されている(医学部とか東大とか兄弟とか現実的すぎるって意味)くせに、小説も書けるなんて、羨ましすぎるよバーカ!!(完全に僻み)

 

そして読書感想写真は何のひねりもなく依頼に手を伸ばしてみた。宇宙工学の道を極めている理奈みたいに賢くないけれど、また夢を夢と割り切って手堅く生きる祐人みたいに潔くないけれども前に前に進みたい、私なりに。